障害年金とは、障害者のためにつくられた年金の給付金制度です。主に2種類あり、障害の等級により利用できる年金の種類が異なります。
それでは制度の概要と対象者について解説します。障害年金に該当するか気になる人は、ぜひ参考にしてください。
障害年金の種類
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金(障害共済年金)があります。しかし、障害の等級によっては該当するものが違います。まずは要件を見てみましょう。
ちなみに障害厚生年金は会社員用で、障害共済年金は公務員用で支給要件は同じです。
支給要件
1. 国民年金に加入している間に初診日があること。
2. 初診日の前日において
①初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間において、保険料が納付または免除されていること
②初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
のいずれかの要件を満たすこと。
3. 国民年金の「障害等級表」で定められた一定の障害があること。
障害の等級別年金の種類
上記の条件を満たすと障害年金を受け取れます。
ここで注意したいのが、障害の等級により受給できる年金の種類が異なることです。
・2級以上:障害基礎年金と障害厚生年金(もしくは障害共済年金)が受給可能
・3級(もしくは3級相当):障害厚生年金(もしくは障害共済年金)が受給可能
日本年金機構「障害年金」(アクセス:2021/10/2)
厚生労働省「国民年金」(アクセス:2021/10/2)
日本年金機構「障害認定基準」(アクセス:2021/10/2)
日本オストミー協会「主な福祉制度」(アクセス:2021/10/2)
年金に加入していなかった人に関して
しかし、何らかの理由で年金に加入してなかった人は、受給ができません。
その後、障害年金以外で障害者を支援する福祉制度がつくられました。それが平成16年に成立した特別障害給付金です。
特別障害給付金
特別障害給付金の支給対象者は以下の条件に合致する方です。
平成3年3月以前に国民年金に任意加入対象であった学生。もしくは昭和61年3月以前に国民年金に任意加入対象であった被用者の配偶者であって、当時任意加入していなかった期間内に初診日がある。上記に該当し、基礎年金と同様に1・2級程度の障害があることが条件です。
日本年金機構「特別障害給付金制度」(アクセス:2021/10/2)
オストメイトが使うには
ストーマの状況により、どの障害の等級に該当するか変わります。
日本年金機構によると
「その他の疾患による障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、
原疾患の性質、進行状況等、具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に認定するもの
とし、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状があり、日常生活の用
を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか
又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働
が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当す
るものと認定する」
とあります。ちなみに引用文のその他の疾病とはオストメイトを含む「腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症、人工肛門・新膀胱、遷延性植物状態、いわゆる難病及び臓器移植」のことを指しています。
また詳しいオストメイトの内容は
「(3) 人工肛門・新膀胱
ア 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と
認定する。
なお、次のものは、2級と認定する。
(ア) 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
(イ) 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時
施行を必要とする)状態にあるもの
なお、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合
的に判断し、さらに上位等級に認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合はそれらを行った日から起算して
6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とし、新膀
胱を造設した場合はその日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)と
する。
なお、(3)ア(ア)及び(イ)の場合に障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
(ア) 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合は、人工肛門を造設した日か
ら起算して6月を経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日
から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
(イ) 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合は、それらを行った日のい
ずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超
える場合を除く。)とする。
(ウ) 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合は、人工肛門を造設し
た日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過
した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。」
とあります。
また日本オストミー協会によると「ストーマを造設しただけでは支給されません」ともあるようです。
日本年金機構「障害認定基準」p95~p96(アクセス:2021/10/2)
スマートケア.net「【動画】ストーマ造設者の障害年金について」(アクセス:2021/10/2)
まとめ
オストメイトが障害年金の支給対象となるかは、年金機構の定める障害の等級によります。ストーマ造設に加えて、合併疾患や全身状態等によっても、等級が変わってきます。また、その判断は医師による医学的な判断が伴い、また書類申請等の手続きもあります。
自分がどの要件に該当し、どの種類の年金が受給できるかは、地方自治体に問い合わせることや専門の社会保険労務士に相談するのも1つの方法です。