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オストメイトアスリートと振り返る2021オリンピック・パラリンピック

TOKYO2020.JPより転載

今年、日本で開かれたオリンピック・パラリンピックは歴史に残る1ページでした。
新型コロナウイルスによる大会の1年延長、開催の有無の課題がありましたそれでも出場したアスリートや運営関係者をはじめ、さまざまな人たちが協力して開催された式典は価値のあるものでした。
2021年度も終わりが近いので、オリンピック・パラリンピックを振り返ります

目次

オリンピックはどうだったか

大会を1年間延期することは、選手たちにとって苦戦する日々だったと思います。加えて感染症対策をした練習と大会の本番、スケジュール管理、メディア対応、国開催の強みを生かせない無観客試合、直前まで開催決定がされない不安、自身の感染への恐怖など、従来の大会より心身に負担がかかったことでしょう。

しかし、その環境下でも日本史上最多の58個のメダルを獲得し、国際順位は3位になりました。その中からとくに印象の残った選手を紹介します。

日本の最多メダリスト

国際オリンピック委員会より転載

はじめにご紹介するのは、「体操」の橋本大輝選手です。今大会で日本においていちばん多い、3つのメダルを獲得しました。
橋本選手は高校3年生で2019年世界選手権に出場し、団体で銅メダルでした。本大会では男子団体で銀、個人総合と鉄棒で金を獲ります。大会中に20歳になりましたが、直前まで19歳でした。若さの台頭と言える選手ではないでしょうか。

史上最年少のメダリスト

東京中日スポーツより転載

つぎの選手は、日本おいて最年少で金メダルを手にした西矢椛選手です。今大会での新競技である「スケートボード」女子ストリートに出場し、金メダルを獲得しました。
また西矢選手は13歳で、1992年のバルセロナ大会に出場し競泳で金メダルを獲得した、当時14歳の岩崎恭子選手を抜き、史上最年少の金メダリストです。

しかし、西矢選手がメダル獲得のあとに12歳の開心那選手が銀メダルを獲得し、最年少記録を塗り替えます。また、世界記録で見ますと最年少7位という記録です。

日本はスケートボードにおいて合計5つのメダルを獲得し、とくに若い世代の活躍が目立ちました。新競技でもあり、これから日本を盛り立てる競技のひとつになったらいいなと思います。

オリンピックでオストメイトのアスリート!

2sportより転載

日本のオリンピック出場選手のなかでオストメイトはいませんでしたが、今大会のスウェーデンのオリンピアンがオストメイトであることを知りました。ハンドボール競技のジェニー・カールソン(jenny carlson)選手です。
ハンドボールは空中戦の格闘技というほどの球技で、体を激しく動かします。また、バスケットボールの要素や投擲をするために捻りの動作も多いです。そんな競技で障害を物ともしないプレーをしていました。

チーム戦績は惜しくも4位でしたが、ジェニー選手のポジションはレフトバックといわれる、ゴール手前で空中戦が最も多いポイントゲッターで、得点を多く獲得する選手のひとりでした。チームの中心となっていたのは間違いありません。

ジェニー選手は2018年にストーマ造設の手術をし、医者からは再びハンドボール選手をすることはできないだろうと言われました。しかし、ジェニー選手はオストメイトであるハンデキャップを乗り越え、2019年にプロリーグに復帰します。そして少しづつ実績を上げていき、オリンピックの代表に選ばれたのです。
ジェニー選手は26歳です。近いうちに、私たちの目の前で素晴らしいプレーを見せてくれることでしょう。

パラリンピックでは

日本のパラリンピックの総合的な結果は、1位のアテネの52個獲得に僅差で及ばなかったものの51個のメダルを獲得し、史上2位でした(過去2位は24個)。こちらもオリンピック同様に大きな成果を出しました。そのなかで注目した選手をピックアップします。

パラで最年少と最年長のメダリスト

パラサポWEBより転載

はじめにご紹介するのは、パラリンピックで最年少メダリストの山田美幸選手と最年長メダリストの杉浦佳子選手です。

山田選手は、それまでパラリンピックの日本記録は陸上競技の島津良範(当時16歳)でしたが、14歳で金メダルを獲得したため最年少メダリストになりました。
山田選手の障害は両腕がないことです。はじまりは治療としての水泳でした。練習の末にロケットスタートを生かし、初出場でしたが背泳ぎで金メダル獲得の躍進をしました。

東京2020パラリンピックより転載

杉浦選手は自転車ロードレースで金メダルを50歳で獲得し、史上最年長を記録しました

杉浦選手は、2016年のレース中の落車によって高次脳機能障害を負い、右足を自由に動かすことができなくなります。また、記憶障害も併発しました。当初はコースマップも覚えるのが難しかったですが、友人やコーチなどのアシストもあり記憶を大きく回復。

パラリンピック開催が延期されたとき、50歳という年齢でメダルを目指すことに失望したそうです。しかし、コーチたちの協力のもとで練習方法やロードバイクへのアプローチなどができたため、金メダルを取れたと言います。

コロプラストが支援する川原選手が銀

パラサポWEBより転載

つぎに車いすバスケットボールの川原凛選手をご紹介します。川原選手はコロプラストが支援するアスリートです。今大会で日本は、車いすバスケットボール史上初の決勝トーナメントに出場します。そして、惜しくもアメリカに60ー64で敗れましたが銀メダルを獲得します。
日本チームは2018年の世界選手権で9位に終わり、今回の飛躍は想像できませんでした。しかし、それから「ディフェンスで勝つ」というコンセプトを掲げ、延期期間中も成長していきこの結果を残すことができました。

川原選手は幼いころか下半身まひのため、車いす生活でした。中学生のとき、実際の試合や漫画などの影響により、車いすバスケをはじめます。
2016年に男子U23世界選手権の候補選手に選出され、2017年には三菱電機ワールドチャレンジカップからはA代表として出場し、それ以降一度も12人のメンバーから外れません。そしてパラリンピック代表選手になりました。

いま川原選手は25歳ですので、次回のパラリンピックでは金メダル獲得の原動力になってくれることでしょう。

番外編 オストメイトのパラアスリート

READY FORより転載

さいごに紹介するのは、オストメイトのパラアスリートの加藤 隆典選手です。パラカヌーをしています。
加藤選手はハンガリーで開催された、東京パラリンピックの最終選考会のワールドカップに選出され出場しました。この大会は選手選考をするうえで重要なものでしたが、あと一歩のところを予選で敗退してしまいました。

次回のパラリンピックは3年後で、加藤選手はいまから本格的な練習を開始しています。加藤選手は今年で41歳ですが、パラカヌーは50代のかたも代表に選ばれており、まだまだ結果を残せる可能性があります。加藤選手の今後の活躍に期待したいと思います。

加藤選手の詳しいプロフィールは以前の記事「ストーマ用品メーカーも支援するパラリンピアン」や「オリンピック・パラリンピックのトイレ事情とパラアスリートの活躍!」をご覧ください。

さいごに

今回のオリンピック・パラリンピックは感染症対策や開催延期などがあり、選手たちの苦しみは想像することができません。そんななかでアスリートたちの競技に臨む姿勢や実際のプレーは、私たちに感動を与えてくれました。また、スポーツができることは当たり前ではない、いまある環境は当然ではないという気づきにも繋がりました。

そして、どんなことでもあきらめない姿は、目の前の障害に立ち向かう勇気を示してくれたのだと思います。

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