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小児オストメイトの気付きにくいこと。認識と医療知識の違い『漫画家しながらツアーナースしています。』

今回ご紹介する書籍は、コミックエッセイの「漫画家しながらツアーナースしています。 こどもの病気別“役立ち”セレクション」です。オストメイトがテーマのひとつとして載っていました。

目次

本書の書評


著者は現場で働く看護師であり、監修には小児科医が行っています。本書はこどもの病気やケガを題材にしているので、処置や知識を知ることができます。反響が大きかったものがセレクトされており、テーマとして取り上げられている「オストメイト」の認知度も向上していることが伺えます。
医療や科学は日進月歩で「昔は正しいと思われてたけど、今は適切でない」ことや「実は間違った処置」をしていた事例が載っています。

たとえば、第3章「持病を持つこどもたち」編を読むと、認識と病気の実情が違うことに驚きます(その章にはオストメイトである小学6年生の女の子のお話もあります)。非医療者は気づくことが難しいのです。例として、てんかんのお話を読んでみると違いがわかるかもしれません。これが当事者と当事者でない者の病気やケガの認知の違いなのでしょう。

本書の役割として、病気やケガなどの医療知識の啓蒙と同時に、「知っているようで知らなかった」という気づきも得られます。
第1章「身近なケガや病気」編では消毒の話が出てきますが、全てのケガに消毒する必要はない、むしろすると症状が悪化してしまうことがあります。また熱中症では、症状を放っておくと障害が残ったり、最悪死亡してしまうケースもあります。昔はスポーツをする部活動などでは「水は飲むな」という慣習があったこともありますが、現代の知識では間違いなのです。高齢者のヒートショックもその事例のひとつではないでしょうか。

本書は、病気やケガ、当事者にに対して先入観があることを知ることができ、また現代の正しい医療知識に触れることができます。
またコミックエッセイなので、とりあえず医療に触れてみる、エンターテイメントとして手軽に楽しむこともできます。一度読んでみてはいかがでしょうか(ちなみにオストメイト回は、第3章「生きつづける君へのエール」です)。

本書のもくじ

  • 第1章「身近なケガや病気」編
    明日のスタンダード/ホットなはなし/パーフェクト・ナース/命を守るための力を…/トイレ発の注意報/突然ですが! 
  • 第2章「いろんな想いを持つこどもたち」編
    あの子もこの子も/個性輝く未来へ/あの時 話してくれた君へ/できることできないこと
  • 第3章「持病を持つこどもたち」編
    グローイング・アップ/ジレンマを抱える君を/たくさんのせんたくし/心うごかす力/生きつづける君へのエール/でも見守っているよ/君のためにできること 

その他の情報

本書は、集英社が運営するWEBメディア「よみタイ」の連載でセレクトされたものです。また著者の明さんはさまざまなテーマで漫画を書いているので、気になった方は調べてみてください。

出典:
よみタイ「漫画家しながらツアーナースしています。」(アクセス:2022/5/28)
Twitter「明@Ming」(アクセス:2022/5/28)

書籍情報(本書記載内容より)

  • 発売日:2020/6/5
  • 著者: 明
  • 発行所:集英社

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