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受け入れることと、新しいこと。そして発信──日本オストミー協会 和歌山県支部 柳岡克子×エムアクト 神戸翼【後半】

自分の現状を客観的に受け入れることは、ときとしてうまくいきません。そして受け入れられたとしても、行動するためには大きなエネルギーを必要とします。それでも新しい「何か」を始めることを続けている人もいます。

精力的に講演や情報を発信する柳岡さんは、どのようなことを経験して何を考えてきたのでしょうか。障害者卓球でパラリンピックを目指したこと、講演活動、オストメイトになって得られたことなど、柳岡さんの具体的なお話を伺いました。

インタビューの前半はこちら

目次

日常生活について

外出

生活関連でもうひとつお伺いしたいことは、外出時はどのようにされているか、お話をいただきたいと思います。

外出のときは、車に車いすを積んでいます。
最初のころは、装具の取り付け方を失敗したり、袋を閉じるのを忘れてたり、付けたまま外れてたり、膨らみ過ぎて漏れ掛かってたりなどが起こっていました。また、車に装具の予備を積んでいます。夏は暑いので、すぐにノリの部分がダメになってしまうので定期的に取り換えないといけないんですね。車いすのポケットにもひとつ装具を入れています。入れているおかげで安心して外出できます。

御坊市では、避難所に自己備蓄として避難袋を置いてもらうシステムを作っていただきました。
御坊市のオストメイトの方には、市役所の人が持って行ってくれるというシステムを作っていただきました。御坊市だけですけど、災害対策として取り組んでいます。これは全国に広げたいと思っている活動です。

御坊市は自己備蓄するのに予算がいらないんですね。予算を付けてもらって市町村に備蓄してもらう市町村もあるみたいですが、そうなると災害時は市役所に取りに行くことができないし、職員も配れないですよね。それぞれの装具の種類も違うので職員も何を備蓄すればいいかわからないですし、探すのも混乱します。

なので、自分のものは自分の避難所に備蓄しておくことがベストではないかと思います。予算がいらないのならすぐにできると言うので、日本オストミー協会和歌山県支部と市役所で覚書を書いて、提携を結
ぶことにしました。

ちなみにそのお話は、御坊市以外の和歌山県内ではやっているんですか?

他の市はほとんどできていないみたいです。

御坊市がこの取り組みをしていると読売新聞に書いてもらいました。それを見た橋本市が同じことをやってくれてるみたいですね。全部の備蓄倉庫に置くのではなく、市民会館の倉庫に一括して置くように調整しているみたいです。
他の市町村もしてくれたらと思っています。御坊市ではいつでも情報公開はすると言ってくれていますので。
ちなみに、御坊市は小さい町なので成功したということもあると思います。大きい町はやるのが難しいみたいです。

危機意識の問題もあると思います。
御坊市は海に面しているので、市民にも災害意識が浸透しているんです。いつ地震や津波が起こるかわからないので、一般市民も避難訓練を何回もやっています。やはり備蓄したいという意識が高いですが、和歌山市のように大きな町はそこまでしなくてもいいという考えが多いのかもしれませんね。

仕事

ありがとうございます。とても興味深いお話でした。
柳岡さんはいままでにさまざまなお仕事をしていると伺っています。また、色々なところで積極的に講演もされてるとのことで、お話を聞きたいと思います。

大学が薬学部だったので、大学卒業後にドラッグストアで薬剤師として勤務していました。長い時間立ち仕事ができないので、午前中の2時間だけ調剤業務をしに行ってました。お昼以降は時間があったので、自宅で学習塾を開いていました。

そんな中、潰瘍性大腸炎だったので入院が増えたんですね。やはり薬剤師の仕事は代わりの方が入職しますので、復職が難しくなりました。
学習塾の方も他の講師にお任せをするのですが、生徒は「私に教わりたいから来ている」とのことで生徒が辞めてしまいました。なので結果的に、両方仕事を失ってしまいました。

仕事を失ったからといって何もしないという選択肢はありませんでした。お金にはなりませんが身体障害者福祉協会の会長になり、社会貢献ということで色々させていただきました。
その間に社会福祉士の資格を専門学校で取りまして、和歌山県教育委員会からスクールソーシャルワーカーという職種を募集していたときに就職しました。会計年度職員という1年交代でさまざまな学校に行っています。仕事内容は、学校で不登校の生徒と先生の間に入ってサポートしたりなど、児童相談所との間を取り持つような仕事をしています。週1回でそんなに負担ではないですので、オストミー協会の支部長も出来ています。

ありがとうございます。ちなみにオストミー協会関係の発信や、障害関連で命の大切さなどの講演活動もされているようなのですが、その辺りはいかがですか。

ありがとうございます。発信に関しては、命や生きる喜びに関して講演させていただいています。
生まれつき障害がありながらも、普通の学校に行かせてもらいまして、薬学部に行って薬剤師になることもできました。

その他に、薬剤師で働いているときに障害者卓球と出会い、パラリンピックを目指していました。世界大会に行ってたりしまして、世界ランキング3位に上り詰めてたのですが、シドニーオリンピックのパラリンピックの代表選手を決める合宿で潰瘍性大腸炎で倒れちゃったんですよ。
すごく惜しい、早く復帰してよと言われている間に若手育成に切り替わってしまいまして、パラリンピックは出場できませんでした。そのことを含めて命は大切だと感じています。。

潰瘍性大腸炎になりましたが命を助けていただいたことに感謝しています。その後、福祉協会の会長職で障害者の相談に乗ったりなどしていました。

講演では、子どものころ身体が不自由でいじめられたり、苦労したけど「生きていればきっと良いことがあるよ」と。学校や社会福祉関係の団体さん、企業さんの研修の人権教育で全国的にお話させていただきました。
最近はコロナの影響でZOOMでお話しする機会が増えました。動画もありますので、見ていただけたら嬉しいです。

ありがとうございます。私もインタビュー前に拝見させていただきました。とても良いお話がアップされていますので、皆さんもご覧いただければと思います。

装具などのお話

装具のお話に移りたいと思います。日常の工夫と普段使っているものということで、お話しいただいてもよろしいですか?

私はツーピースです。潰瘍性大腸炎で引っ付ける予定で2つ置いていたんですが、引っ付けた方は「下痢が多くなったとかでやめた方がいいよ」との意見が多く、取り付けませんでした。
装具は蛇腹があるのがいいと聞き、便の方は蛇腹のあるツーピースを使っています。テープが一番太い最新のものです。そのあと、「アダプト」というノリを付けます。このアダプトを穴の周りに塗ります。
 
アダプトとテープを併用したら1週間持ちます。イレストミーでも持ちますので参考になさってください。

メーカーさんへのご意見

ありがとうございます。
装具に関連するのですが、メーカーさんにご意見があればお伺いしたいと思います。

最近はガス抜きが付いている装具が多いんですよね。ガスがパンパンになって困るという方用なんです。私はガスによって膨らむのではなく、使っているうちに装具が萎んでいくんですよ。なので、中に空気を入れた状態で蓋をしたいんですね、なのでシールが欲しいんです。

空気の抜ける穴のところにシールを貼りたいということですか?

そうです、そうです。それを貼っておかないと、空気が全部抜けてしまったらペチャンコになってしまって、便を突き上げることができなんですよ。
だからよく漏れてしまうんですね。空気が入っていたら、そのまま落ちていくんですけど。空気穴をふさぐシールが欲しいんですが、最近のものは逆流しないようにできているんですかね。

その現象はメーカーさんにお話ししたことはあるんですか?

あります。そしたら、いまはガスの膨らみの方を重視しているのでシールはつくっていないと言われました。どこの会社もそんな感じです。ガスが膨らむ方は大腸がある程度残っているからだと思いますが、私は大腸がないのでガスがほとんどでないんですね。なので、反対に萎んでしまうんです。
探し求めた結果、「ダンサック」さんに無理言ってもらったシールをいまは大事に使っています。

私もイメージができていないんですが、今日いただいたご意見をメーカーさんにお伝えできればと思います。
医学的にどういうことなのか、先生に聞かなければいけないかもしれません。貴重なご意見だと思います。

オストメイトになって得られたもの

オストメイトになって困ることや苦労することもあると思いますが、一方でなったからこそ得られたものもあると想像しております。その辺りについてお話しいただけますか。

オストメイトの友達ができたこと

まず、オストメイトという言葉をなるまで知らなかったんです。潰瘍性大腸炎にはなって、袋付けることになるよと言われていましたが、言葉までは知らなかったんです。
患者会があると聞いていたので入れてもらいまして、入会して役員になったこともありオストメイトの友達ができました。

オストミー協会では私と違い、原疾患が「がん」の方が多く、元々の病気のことも大変だと思います。なのですが、それを乗り越えてニコニコしているんですね。「私はがんを取ってもらったおかげで命がつながってるんや」とおっっしゃた方もいました。そういう考え方で喜べるんだと。
オストメイトになって悲しいと思っている方ばかりだと思っていましたが、「オストメイトになったおかげで悪いもの全部取ってもらったから生きている」という考えの友達と大勢出会いました。潰瘍性大腸炎は1割くらいで、8割ほどはがんの方で、会員さんはみなさんそんな感じです。

そういう友達と出会えたことは精神的にも強くなるし、尊敬できるし、本当に素晴らしい仲間と出会えたなあと思いました。

生活が安定したことと支部長をさせてもらったこと

個人的なことでは2つあります。ひとつは入院することがなくなったことです。
手術前は半年に1回入院していました。潰瘍性大腸炎で貧血になって倒れて母に発見されたり、もちろん外でも倒れて意識不明になったりしたこともあります。オストメイトになったおかげでボロボロだった大腸もなくなりました。つまり、出血する大腸がなくなったから入院がないんですよ。だから普通に生活できているし、もうあんなつらい貧血でふらふらにあることもないんです。そういう危険なことをしながら入退院をしていた12年間を思うと、オストメイトになれて良かったなと。QOL(生活の質)が上がったというやつですね。

もうひとつは、オストメイトになって和歌山県の支部長をしているときに大きな集まりに来賓として呼ばれたことです。
以前の御坊市身体障害者福祉協会の会長だったときは、600名が集う和歌山県の身体障碍者連盟の福祉大会が1年に1回あるんですが、そのときは600名のうちの1名ですよね。

オストメイトになったら県の支部長ということで、来賓席の舞台に上がれるんですよ。来賓が、のどのがんの会、脊椎損傷の会、人工透析の会、そして私の席がありました。もうひとつ席があるんですが、それが知事さんの席だったんですね。隣の知事さんが「君はあっちじゃなかったのか?」「今年から支部長をさせてもらってます」と名刺を渡させていただいて、知事さんの隣に座れてすごい嬉しかったですね。そんなことで、大きな会の支部長をさせてもらっていることを改めて実感した経験です。

その他には、オストメイトになって頑張らせてもらって、オストメイトの役に立てていると実感しています。和歌山県の県警さんに掛け合って、和歌山県内ではシートベルトをしていなくて警察に止められても、支部カードを出したら免除してもらえるようになりました。すごい会員さんに喜んでいただいて、こういうことで頑張ったかいがあったなと思います。

今後やりたいこと・夢

ありがとございます。続けてもうひとつお話をお伺いします。
今後やりたいことや夢など教えていただきますか。

はい。パラリンピックは断念しましたが、昨年4月に和歌山そこで身体障害者福祉協会県白浜町を聖火ランナーとして走らせていただきました。そのことを講演活動で子どもたちに話させてもらってるんですが、「生きる喜び」を知れる発信だということで非常に喜んでいただいてます。これを続けたいと思います。

他に、地域の身体障害者が集える場所をつくりたいです。
いまコロナの関係でできないんですが、集まっておしゃべりしたり、将棋やカラオケしたりなど、お金を使ったものではなくてただ集まるということをしたいです。また、お年寄りと子どもが帰ってこれる場所、障害・高齢・子どもが一体となって集えるサロンのようなものをつくりたいと考えています。

仲間へのメッセージ

これが最後の質問になりますが、オストメイトの仲間へのメッセージをいただいて終わりにしたいと思います。

そうですね。もっと皆さんに発信してほしいと思います。内部障害ということで自分がオストメイトだということを周囲に知られたくないなと思う方がいらっしゃいます。
ジロジロ見られることもあるので、オストメイトのカードとかキーホルダーとか付けたり、障害者用のトイレから出るときはオストメイトとわかるようなものを見せたりなどしてほしいです。
「オストメイト」という言葉を一般的に知ってもらう方法を考えて、主にFacebookに投稿しています。

これから高齢になる方はPCが使える世代になると思うんで、インターネットを使った発信方法を使えるように練習していただいて。インターネット上の仲間や集いを知ったり、「オスとぴ」などに参加してもらったり。こういう活動に参加してもらうように仲間づくりをしてもらったら嬉しいです。会員の取り合いとかではなくて、みんなで分かち合える会ならよりいいなと思います。

支部会員だから、ここには入れないというのではなくて。いろんな会に顔を出しながらつながっていきたいです。私は50歳を過ぎたので、若いオストメイトの会に行くのはおこがましいんですけど、この間札幌のところに入れてもらってお話を聞かせてらいました。

ZOOMを使えば世界中つながることができると知ってもらって、いろんなつながりで相談し合って、そういう仲間づくりっていうのが大切だと感じております。泣くばかりではなくて笑える会になるように頑張りましょう!

公開インタビュー撮影会は月に1回を予定しております。お話しても良いという方はご連絡いただけると幸いです(自薦・他薦大歓迎です)。
メールアドレス:info@m-akt-jp

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この記事を書いた人

ライター//元広告の営業職/NPOの発足から携わって8年目。みなさまの意見が日々の糧になります。

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