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公衆浴場でオストメイトも使える入浴着

公衆浴場では人の目が気になってしまうオストメイトもいらっしゃるという声をよく聞きます。そこで乳がん患者向けに「入浴着」を着て温泉などを利用している例を見つけましたので、ご紹介します。

目次

入浴着とは

ピンクリボンが考えた、手術痕を隠す入浴着

ピンクリボン運動を行うNPO法人 J.POSHは、乳がんの啓蒙活動とサポートをしています。その一環で手術痕などがある乳がん患者がが気持ちよく公衆浴場を利用できるように、専用の「入浴着」を考えました。

当初は、乳がん患者に優しい全国の温泉施設を掲載した「ピンクリボン温泉ネットワーク」をつくっていました。ここで言うネットワークとは、乳がん患者さんが楽しめる環境づくりに協力しておりNPO法人 J.POSHのHPに掲載されている連携施設のことをいいます。今では、その後に開発された入浴着を着用してネットワークの温泉施設を利用することができます。基本的にNPO法人 J.POSHのHPに掲載されていますので、ご確認ください。また、冊子となって置いてある施設もあります。

出典:NPO法人 J.POSH「温泉施設ご紹介」(アクセス:2022/12/10)

入浴着の変遷

とある温泉施設では2014年ごろから入浴着の利用を認める動きをしていました。しかしその他の施設では、厚生労働省が公的に認めても、施設側が拒否するケースがありました。

そのような問題が起きた結果、手術痕などがある人も入浴しやすいように、2020年ごろに乳がん患者向けの入浴着が開発され、入浴可能施設のネットワークが整備されたのだと思います。乳がん患者向けの衣料品を取り扱うブライトアイズとNPO法人 J.POSHが乳がん患者向けに協働企画したものが、HP に載っているものです。ここから徐々に入浴着を認める動きが出たのだと考えられます。法人のHPでバスタイムカバーは3780円で販売しています。

大昔は服を着て入浴するのが普通だった!?

現代の日本において、公衆浴場では裸で入浴するのが一般的です。そういう常識だと疑っていませんでした。欧米では浴槽に浸からずシャワーが多いですが、日本は入浴する文化なのだと。しかし裸で入浴するようになったのは明治初期からで、西洋の影響だそうです。
驚くことに、江戸時代では男女混浴だったそうです。しかも湯浴み着という、入浴着の原型のようなものを着ていたそうです。湯浴み着は奈良時代に起源を持ちます(「出雲国風土記」に記載)。

むかしは入浴着を着用したり、男女混浴が普通だったりと現代とは違った入浴文化だったのですね。

出典:
NPO法人 J.POSH「ピンクリボン温泉ネットワーク グッズ」(アクセス:2022/12/10)
ブライトアイズ HP「ホーム」(アクセス:2022/12/10)
東京新聞「乳がん患者の入浴着着用に理解広がらず 「何を着て入浴している」と怒鳴られた人も… 」(アクセス:2022/12/10)
温泉百貨店「湯浴み着とは」(アクセス:2022/12/10)

オストメイトの入浴着はあるのか

オストメイトが使えそうな入浴着を見つけました

乳がん患者向けの入浴着は開発されましたが、見てみると上半身を覆うものでした。もともと胸囲部分を隠すものなので、オストメイトが使うには少し使いづらそうな印象を受けました。

他にないかと探していましたら、2021年の冬に畿央大学、人間環境デザイン学科の村田浩子教授とGSIクレオスが共同開発した入浴着を見つけました。こちらも乳がん患者用のものがベースで開発されているので、メインのものは胸囲部分のものでした。
ですが、安心してください。オストメイトも使うことができるワンピースタイプもありました。使い捨てタイプであり、880円と価格も手軽です。ちなみに乳がん患者向けの上半身だけのものは495円です。従来のものと比べて手が出やすく、温泉に行こというモチベーションになるかもしれません。

こちらはRakutenで販売されています。店頭では北海道を中心にして展開するナカジマ薬局で購入することができます(北海道以外は、東京都と神奈川県、福岡県、大阪府に展開)。その他の温泉施設や店舗で展開予定とのことです。

 ご購入をされたい方はこちらをクリック ▶  Rakuten

2022年グッドデザイン賞を受賞

以前、2022年度のグッドデザイン賞を「カラフルストマ」が受賞した記事を書きました。同じく入浴着の「バスタイムトップス」も受賞しています。
グッドデザイン賞とは、造形だけでなく社会課題の解決や新しいテーマを創造するプロダクトも「デザイン」の範囲に含まれます。入浴着も同様に、社会課題を解決するプロダクトであることを評価され、受賞しました。
ポイントとして、ギャザーのデザインにより左右の胸のバランスを整えたことと、湯切れがよい素材の不織布を使ったことにあります(既存品はニット素材が多い)。価格帯を従来品の1/8に抑えたことも評価点でした。

グッドデザイン賞とカラフルストマの記事も合わせてご覧ください。

出典:
PRTIMES「【国内初!畿央大学とGSIクレオスは、女性が乳がんの手術痕を気にすることなく公共浴場を気軽に幅広く利用できるようにすることを目的とした入浴着を共同開発した】」(アクセス:2022/12/10)
Rakuten「BATHTIME ONE PIECE バスタイムワンピースタイプ」(アクセス:2022/12/10)
ナカジマ薬局「【プレスリリース】乳がん患者様向け入浴着「バスタイムトップス」52店舗で取り扱い開始」(アクセス:2022/12/10)
ピンクリボンお宿のネットワーク「トップページ」(アクセス:2022/12/10)
公益財団法人日本デザイン振興会「GOOD DESIGN AWARD 2022」(アクセス:2022/12/10)

愛知県支部でオストメイト用の入浴着開発中?

日本オストミー協会会員の平尾さんのお話では、オストメイトの入浴着ができるかもしれないとのことです。オストメイトの認知度とともに、こちらにも記載されるかもしれませんね。

厚生労働省や自治体も公衆浴場を利用することの認知を推し進めている

厚生労働省のHPの公衆浴場のページでは、乳がん患者など手術痕などがある方の入浴着の理解が書かれています。また、同様にオストメイトへの入浴の理解を求める意見も書かれています。オストメイトの身体の概要と入浴の際にオストメイトが守るマナーを説明し、衛生上は問題ないことも周知されています。また、秋田県や広島県、小樽市などの多くの自治体でもオストメイトへの入浴理解の告知は広がっているので、認知度は上がっていると言えるでしょう。

出典:
厚生労働省「公衆浴場のページ」(アクセス:2022/12/10)
厚生労働省「公衆浴場のページ- オストメイト(人工肛門・人工膀胱のある人たち)の公衆浴場への入浴にご理解ください」(アクセス:2022/12/10)
小樽市「入浴着の着用・オストメイトについて」(アクセス:2022/12/10)
美の国あきたネット「入浴着を着用した方やオストメイトの公衆浴場での入浴にご配慮ください」(アクセス:2022/12/10)
広島県「公衆浴場における入浴着を着用した入浴等にご理解をお願いします」(アクセス:2022/12/10)

さいごに

記事を書いていて気になったのは、乳がん患者の方でも、8割は入浴着を知らないという事実です。もしかしたらご存知ないオストメイトもいらっしゃるかもしれません。もしご友人とそのような話題が出ましたら、オストメイトでも使えそうな入浴着のことを話してみてください。ちなみに男性用の湯浴み着もあります。

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