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経験から新たな取り組みを。仕組みを変え、QOL向上に貢献したいという想い──平尾幸一×エムアクト 神戸翼【後半】

誰しも仕事や生活をしている中で、不測の事態はしばしば起こります。そのことに対して自分で対処することが求められることも多いでしょう。その経験から異なった気持ちを得たり、新たな取り組みにつながることもあります。

前半では平尾幸一さんに、オストメイトになってもダイビングやヨットの趣味や、銭湯の入り方を伺いました。
後半では、仕事先のトラブルやオストミー協会での活動、今後やりたい自治体との交渉などについてお話ししていただきます。

目次

日常生活について

外出

続けて外出のお話をお聞きしたいと思います。

はい。外出するとき、ストーマがV字型なのでよく漏れていたんですね。一旦漏れると連続して漏れるときがあるので、3セットほど持ち歩いています。プラスチックのケースにパウチを3セットと、交換に必要なものをリュックに入れています。

ありがとうございます。他のオストメイトの方が複数枚のパウチを用意するように、平尾さんも3セット分持ち歩いているということですね。

仕事

次はお仕事のテーマです。
いまは引退してオストミー協会の活動に専念しているとお聞きしましたが、オストメイトになった当時はお仕事していたと思います。そのお話をお聞きしたいと思います。

公認会計士で大手監査法人に務めていました。昭和60年ごろ1兆円規模のとあるグループ会社で、その関連会社が倒産に至るまで十数年担当しました。その他に3つほど同じような会社を担当しています。危ない橋だけがが私の方に周ってくるという感じです。

最後の案件は2兆7千億の借金がある会社を担当しました。実はストーマ造設をして入院していたときだったので、仕事仲間に病院を訪れるように頼みました。
自身の患部を診てもらい、どういう状況かを理解してもらったんです。私のお客様で部長職以上の経理担当にも、私はオストメイトであり「何かトラブルがあるかもしれないですけど、よろしくお願いします」とお話ししました。

仕事で1番のトラブルは、得意先の前でパウチのコックが外れズボンが濡れてしまったことです。打ち合わせでホワイトボードに書こうと思ったときにコックが空いちゃったんですね。慌ててトイレに1時間ほどこもりました。幸い夏で薄手のズボンだったので、なんとか乾いてくれました。唯一これが関係者に迷惑かけた事例ですね。

術後の入院時にオストメイトのご説明をされたんですね。たしかに口頭や資料で説明しても、どうしても伝わらないこともあると思うので、それが一番早いのかもしれません。しかし、それができたのは平尾さんの独自性だと思いました。

そして実際に業務をしていた中でパウチからおしっこが漏れる経験もして、相当大変だったと思います。当時は携帯電話も…

なかったですね(笑)。

そうですよね(笑)。
そうなるとその場で自分が解決しなければならないということですね。

そうですね。また、仕事仲間や得意先にオストメイトであることを知らせたうえで、仕事ができたことは安心感がありました。自分自身のことをどれだけ話せるかがポイントだと思います。

ありがとうございます。
医療者視点でも病気になったことない方は、あまり医療や病院、医療者のことを知らないこともあります。周りで病気になられた方がいると、ようやく気付いたりするんですけど。
ある意味貴重な存在でありますし、オストメイトのことを知ってもらうことは重要だと思います。

装具などのお話

ストーマ装具の話をしていきたいと思います。使われているパウチや日常の工夫などあれば共有いただけますか?

手術痕がV字型なので、いまは幅が2センチほどのベルトでパウチを止めて外れないようにしています。V字型のところはどうしても開いてしまうので浮き上がってくるんですね。その関係で交換のときにリードというキッチンペーパーを使い──1枚を半分にして丸くたたんでV字の谷のところに当てて──密着感を維持しています。

ありがとうございます。ちなみにパウチの交換は何日ごとですか?

かゆみが出たときには毎日で、いまは3日に1回です。

スキューバダイビングのときも場合によっては2日に1回交換していたように、状況によって交換頻度が変わっているんですね。

メーカーさんへのご意見

メーカーさんへのメッセージはありますか?

メーカーさんに関しては、いま使っているものに満足していますので特にありません。

オストメイトになって得られたもの

得られたものはふたつ

いよいよ最後のパートです。
ストーマを造設して生活が変わったと思いますが、オストメイトになって得られたものがあると思っています。そちらのお話をお聞きしたいと思います。

はい。ひとつはオストメイトの人脈です。
日本オストミー協会が公益社団法人に移行するときに、新しい公益法人制度で経理の決算をすることになりました。当時61支部のうち54支部に新しいソフトウエアで経理業務をお願いして周りました。公益法人に移行する前に3年で、移行後2年間で5年かかりました。この業務を通して、全国の経理担当や事務局長さんとお話ししましたのでネットワークが広がりました。
幅広い方と知り合いになれて、また自分の立ち位置が見えてきたのが一番嬉しかったです。私の宝物です。

もうひとつは、人の気持ちを汲み取る、寄り添うことをオストメイトの世界で知れたことです。
以前は私はパワハラの平尾と言われてました。事務所でも私の師匠が引退したらつるし上げに来ました、お前はパワハラをしていると(笑)。師匠は認めてくれてたんですよ、なので危ないところばっか担当させてくれたんですが。

ありがとうございます。会計士さんは大変なお仕事なんだろうと想像しています。また、オストミー協会の中での会計システム導入で全国の支部を周り、そのネットワークがいまに繋がっているということなんですね。
住んでいる地域の情報だけですと、情報量が少なかったりします。なので、全国の方と知り合えるチャンスがあると、多くの仲間とも出会えます。そういう意味でも大きな価値だったのだと思います。

今後やりたいこと・夢

今後やりたいこと、夢についてお聞きしてもよろしいですか?

この質問は長くなっちゃいますね。実は頭の中で整理してきたことが5つほどあるんですよ。

・QOLの向上ということで研修会のテキストの作成
・神戸さんが進めているアプリ「オストメイトなび」のトイレ設備の写真の登録促進
・災害時の話で、避難所運営マニュアルの改訂を各市町村に依頼
・愛知県支部のストーマケア研修会の開催経費の補助を拡大
・厚労省HPにもある乳がん手術や皮膚移植の傷跡をカバーする専用の入浴着のオストメイト版を記述してもらうために厚労省との交渉

この5つです。長くなりそうでしょう?

ありがとうございます。私のほうで少しずつ掘り下げていきたいと思います。

まずひとつ目に研修会のテキストとお話がありました。これは患者会の活動を継続的に行えるようにテキストをつくっていくということですか?

はい。省庁や自治体に頼みごとをするときに制度などの経緯を把握していないと交渉が長引いてしまうんです。
私たちの世代は障害者手帳をもらうのに何年もかかりました。また、昔で言う補装具──いまでは日常生活用具──が支給されるのにも長い時間がかかっていたんです。そしていままでの活動の成果が制度の変更ということに立ち入っているんですね。制度化されてからの変遷もあるわけです。

その経緯を把握してないと、行政との交渉が宙に浮いた話になってしまうんですね。なので、現状の制度やこれまでの経緯について記述した研修会用のテキストをつくりたいんです。
厚労省と折衝されてきた本部の会長や副会長の経験者の方に、テキスト完成後に評価してもらうことをお願いしまして、OKをもらっています。完成には2,3年かかる話ですけども、進めていきたいと思います。

ありがとうございます。団体として活動をするときに制度や経緯の理解ができていないと、自治体や省庁との落としどころが決められないということが出てきてしまいます。理解した上でお互いに良い落としどころをつくっていくのは、とても良いことだと思います。

患者・障害者向けのセミナーやイベントをやるにあたっても、過去の話がわからないと新たにやるのも難しいかもしれないので、まとまったテキストがあると良いかもしれません。その後、継続するのもやりやすいのかなと思いました。

その他に、3つ目の避難所運営マニュアルが気になりました。オストメイトが災害にあったときの避難の問題やプライバシーの問題のことだと思いますが、なにか働きかけをされているんですか?

自治体の避難所運営マニュアルを、オストメイトに対する物資や設備の利用ができるように改訂するよう働きかけをしています。
現在、内閣府と愛知県が同じレベルの避難所運営マニュアルです。しかし、名古屋市のマニュアルは、はるか昔のものを使っています。

内閣府のマニュアルでは、初動期の避難所が使う場所を指定するときは、要配慮者用の福祉スペースを設けなさい、など本編に書かれています。また、災害用簡易トイレを備蓄や環境衛生用品としてストーマ装具の備蓄、要介護の人・オストメイトの人などに配慮した入浴・シャワーの利用計画などの記載があるんです。
ですが、自治体では備蓄が行われていなかったり、記載がなかったりします。このマニュアルは税収で運営されるものです。それが災害対策基金であり、愛知県は約550億円の予算が確保されているんです。

避難所運営マニュアルは自治体によって中身は違ってるということですね。たとえば、愛知県でつくっている運営マニュアルと、各自治体でつくっている運営マニュアルが違っているということですね。さらにそこでオストメイトの記載があるとかないとか、オストメイトの記載があっても必要なものがないと見て取れるという事ですね。

恐らく自治体の職員の人や地域の市議会議員、患者団体の方も気づいてなかったりすると思います。そこをお知らせして協議ができると、より良い方向へ進むと思いました。

時間の関係上、本テーマの質問を最後にします。
5番目は乳がん患者などの傷跡をカバーする入浴着ですよね。そのオストメイト版をつくりたいというお話かと思いました。乳がん患者向けの入浴着は進んでいるんですか?

ピンクリボンという患者団体が厚労省に掛け合って入浴着が出来上がりました。
オストメイトの場合は、愛知県支部の賛助会員の方がおしゃれなものをつくってくれたんですよ。これを踏まえて厚労省と折衝しようと思っています。厚労省の反論対策に、愛知県支部の5月会報にアンケート用紙──入浴に関わる総括的なもの──を回収しています。それをベースにして厚労省と交渉しようと思っています。

イメージがわくと思うので、厚労省のページも皆様にもぜひ見てほしいと思います。オストメイトが公衆浴場を使うとき基準となるような取り組みだと思います。

仲間へのメッセージ

最後にオストメイトの仲間に一言お願いします。

季節の息吹を感じられたらいいと思います。
四季を感じる目線でさまざまなことに目を向けて見ましょう。

公開インタビュー撮影会は月に1回を予定しております。お話しても良いという方はご連絡いただけると幸いです(自薦・他薦大歓迎です)。
メールアドレス:info@m-akt-jp

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この記事を書いた人

ライター//元広告の営業職/NPOの発足から携わって8年目。みなさまの意見が日々の糧になります。

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