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オストメイトになっても前向きに生きる——英語発音デザイナー 中島小百合×エムアクト 神戸翼

オストメイトになったら環境が激変して、いままでの生活が続けられなくなるのではないか。こう思われるかたが多いと思います。
しかし、以前と比べて医療機器の進歩やテクノロジーが発達し、生活様式も変わりました。このような時代でオストメイトになっても、自営業で仕事をしたり、メディアに多数出演したり、デコパウチのプロジェクトを立ち上げたりと勢力的に活動している中島小百合さん。
そんな中島さんにオストメイトとして生きるヒントを、エムアクト代表の神戸翼が聞きました。

目次

オストメイトになった経緯

まずはオストメイトになった経緯をお聞きしたいと思います。なにがきっかけだったんでしょうか。

私の場合、そろそろ子どもを産みたいなーっと思っていたので、結婚したあとにクリニックの婦人科を受診したんですね。そこで子宮筋腫と子宮内膜症と診断されました。

当時、自覚症状はなかったんですけどね。なので、病院に行くことを考えていなかったんです。ただ、いま振り返ってみると、学生時代から便秘がひどかったりとか、30代に入ってから生理痛が徐々に悪化したりとか。私は思い出せないんですけど、夫に聞いてみたら、生理になるたびに寝込んでたみたいなんですよ。それで出産のこともあるし、病院に行ってみたらといわれてクリニックに受診して発覚したのが経緯です。

そのあと大学病院を紹介されまして、そこの先生に「一時的に人工肛門が付くかもしれないよ」といわれてはじめて人工肛門という単語を知りました。なので、婦人科だったんですね、オストメイトのことを教えてくださったのは。

ただ、その大学病院も婦人科と大腸肛門外科で一緒に手術をするのはすごく珍しいといわれまして。「この症例なら、ふたつの科の連携が取れて、症例数が多いほうがいいんじゃないか」と別の大学病院を紹介していただきました。そこでストーマ造設の手術をしたという感じです。

中島小百合(なかじま・さゆり)。アメリカ英語発音トレーナー。学習院大学文学部哲学科(東洋思想史専攻)を卒業後、23歳で渡米。バークリー音楽大学ボーカルパフォーマンス学科卒業。2003年から3年半の米国滞在でTOEIC970点、英検1級の英語力を取得。音楽出版社での専門書翻訳、専門学校ボーカル講師などを経て、ボーカリストのためのアメリカ英語発音指導法を開発。えいご発音塾「こまば音庵(おんあん)」にて俳優、歌手、ビジネスエグゼクティブ向けのパーソナルレッスンや海外シンガーのレッスン同時通訳など行う。レコーディング立ち会いの指名も多数。

画像は時事ドットコムニュースより転載

子宮内膜症が腸に転移したというお話がありましたが、そのような事例があるんですか。

そうらしいんですよ。手術前にインターネットで調べてみたら、子宮内膜症の細胞が腸や肺に接触する可能性があるみたいで、子宮のなかだけではないそうです。

ほかの人もオストメイトになった元々の疾患が違ったりするので、さまざまな原因があるのだと改めて知ることができました。

NPO法人m-akt 理事長 神戸翼

治療と手術

そのあと、子宮内膜症が腸に転移したので、治療や手術を行ったと思いますが、実際はどのような感じでしたか。

子宮内膜症の進行は早いものではなかったので、だいたい半年後ぐらいに手術をしました。それまでの期間では、子宮内膜症の影響で腸のなかで、内容物が詰まったりする症状が出ていまして、下剤を飲んでいました。また、並行して子宮内膜症のためにホルモン剤も使用していましたね。それで手術当日までは乗り切ったという感じです。

手術は、当初5時間ほどといわれてたのですが、7時間ほど延長してしまったみたいで。最終的に12時間かかってしまったそうです。婦人科系と消化器系の臓器がべたーっとくっついたようで、いままでで一番ひどい症状だったといわれました。そのせいなのか手術後は、一週間ほど記憶もおぼろげでした。

手術後はふわふわとしていて、気づいたら身体から腸が出ていてオストメイトになったという感じでした。現在はコロストミーですが、一回目の手術が終わったときは、イレオストミーだったんですよ。なので、ちっちゃいのがぴょろっと出ていて、なんか変なのが付いてきて「困ったな―」のほうが強くて。そのあとまた、腸がうまく動かなくなったりとドタバタしたので、タイミングがなかったというか、嫌うこともなく毎日を送れています。

入院・退院・再入院しての手術

実際、入院中はどんな感じだったんですか。

そうですね、、、まず、病院へのお見舞いは、(大腸肛門外科に入院しているのは)女子としてはばかられたので「基本的に来ないでくれ」とお断りしていました。

そう言ったのも、体調とかより、けっこう大きめで数年間打合せしてきた特殊な音楽の通訳のお仕事を、なんとも中途半端にお仕事をお断りしなければいけなかったんです。そのショックでした。他のもので、それっきり仕事もなくなってしまったこともあったので。

逆に外国人の知人が、心配して無理やりお見舞いに来てくれたのは、嬉しかったですかね。

看護師さんのやさしさに

最初は、女子として下のお世話をしてもらうのは辛かったですし、ストーマから便が漏れてしまうことがショックでした。装具の付け方もわからず、すぐストーマ外へ漏れてきたりするので、2、3日に1回はトラブルが発生してご迷惑をおかけしてました。漏れたのを深夜に気づいたときは「もおー」となっていました。

ただ、看護師さんはそのようなことがあっても「大したことじゃないですよー」と普通に言ってくださりまして。恥ずかしい気持ちを汲み取ってくれるし、仕事も完璧だしと、入院中は看護師さんのカラッとした対応に救われたと思います。

オストメイトのかたは、入院してからある程度の時間が経つと退院しなければならない構造があります。定期受診などは人それぞれだと思いますが、中島さんはどのような感じでしたか。

手術後は、ストーマが安定していたので退院したのですが、その2日後に下血しまして。退院して48時間後に救急病院に運ばれて、病院に逆戻りすると言う事態に。婦人科と消化器の臓器に穴が開いてしまう、子宮内膜症と直腸膣瘻を発病したんです。

再入院してから半年後、正式に退院しました。最初の手術から半年経ち、直腸膣労で空いた穴もふさがったので、イレオストミーを落とした(もとに戻した)んですね。

ただ、その後、ストーマを落とした2週間後、直腸膣労が再発したんです。

そして「ストーマを落とすなら、ちゃんとした手術をしたほうがいいんじゃないか」と医師に言われ、相談しつつ、どのように治療していくか打ち合せしているのが現状です。

直腸膣労に関してですが、検査しても穴はふさがっているのに、実際は穴が開いている状態に悩んでいます。また症例が豊富な病院が見つからないのもストレスですね。

あと、実家の家族から「いつになったら元の身体に戻るんだ」と言われたときは、オストメイトになると家族との付き合いが色々あるんだなと思いました。

セカンドオピニオンを他の医師にもらったのですが、自分の身体を任せるとなると、身構えてしまいまして。いまのかかっている医師をとても信頼しているのもあるのですが、どうせなら自分が納得して身体を預けられる医師と治療を進めていけたらと思います。

いま進めている手術は「薄筋皮弁」という、自分のふとももの筋肉を、腸と膣の間に差し込んで壁をつくるものです。ストーマを落とすのであれば、その手術をする必要があるんです。

一番大きな問いは、「手術をしたら気持ちのいい生き方ができるか」です。もともとひどい便秘症だったので、ストーマをつけてコントロールしているほうが、生活しやすいんです。患者会で、ストーマを落として排便障害になった人の話を聞いて、その問いを改めて模索している最中です。退院後も、健康面で上がったり、下がったりすると思いますので。

私もあまり聞かないケースのお話でした。レアなパターンといいますか、(ストーマを)閉じても開いても不都合が起きることが悩ましいことだと思います。看護師さんのお話に少しありましたが、医療者に向けて言いたいことはありますか。

やはり患者さんのことを、汲み取ってくれることが嬉しいことだと伝えたいです。

医師や看護師さんのように専門家が話すことばと、患者さんが話すことばは少し違うんです。自分の身体について話すのは、ほんとうに人それぞれ感じかたがちがうので。

英語にたとえると、ベロの形とか、発音とか違いますよね。「More is meant than meets the eye.」という熟語がありまして、「見た目以上の」という意味なんです。つまり、発したことばに、それ以上の意味だったり、ニュアンスが含まれていることがあるということで、こっちが知っているボキャブラリーを想像して対応してくれると、とても嬉しいです。

あとは、心のケアをするか、専門家をお勧めしてくれると嬉しいです。オストメイトは身体より、心が追い付くのが難しいと思いますから。

私も医療機関のなかで過ごしていますが、医師は結構忙しい部分もありますので、キーになるのは看護師だと思います。なので、オストメイトのことを理解している看護師さんが寄り添っていく流れが、病院ごとにできるといいと思います。

シフトの関係でいつでも、というわけにはいかないと思います。ですが、ひとりでも話せる看護師さんを見つけるなど患者さん自身でもできることはあると思います。

オストメイトになった後の生活

どのような形で情報収集をしていたか聞きたいと思います。

私が手術をした2016年は、オストメイトを公表している方が少ない印象だったので、海外の活動家に勇気づけられることが多かったです。

活動家を知ったきっかけは海外のオストメイト専用のSNS「Meet An OstoMate」です。「こういうとき、どうしたらいいんだろう」「今から手術行ってくるよ」「結婚しました」「出産します」などの投稿が、一日に何回も更新されています。全て英語なんですけど、自分が投稿したら500件くらいコメントで応援してくださったり。たとえば、「今日漏れちゃったんですけど」の投稿には、「大丈夫だ!気にすんな!」「がんばれ」などのコメントがありました。

なので、海外の方を見る機会が多いです。そのSNSではオストメイト同士が出会えるようになってまして、もちろん男女の出会いだけではなく、友達もつくれます。たとえば、「オストメイトだけど、一緒にスキューバダイビング行ける人いないか?」などの投稿があります。

海外のオストメイト専用のSNS「Meet An OstoMate」
「Meet An OstoMate」Facebookページ

こういうSNSを見て「オストメイト同士ならスムーズに関係を築けるかもしれない」と思いました。とくに女性だとオストメイトであることがバレると嫌われるんじゃないか、と考えがちだと思うんです。なので、いろいろなものを見て、自分に興味を持つようになると、その延長で自分の身体も受けいれられるようになるので、恋愛や結婚を諦めなくていいと思うんです。

仕事

では、お仕事について、お話を聞いてみたいと思います。中島さんは、特徴的なお仕事をされていますので、そちらもお話ししていただけますか。

私は個人事業主として、英語の発音を指導しています。

オストメイトになった直後は、ストーマ装具の扱いも慣れてなかったのもあり、外出するのが嫌だと感じていました。なので、手術後はオンライン・レッスンが主な仕事です。
現在は、ビデオ会議を利用して同時通訳をしたり、日本語の字幕をつくるなど、英語と音楽を掛け合わせたお仕事を、オンライン上で行っています。

フリーランスなので仕事の調整はしやすいですが、体調が悪くなったときお休みしていいという支援はないので、将来的な不安はあります。
ですが、自分の生活はまかなえているので、この感じで自分の身体と上手く付き合っていけたらと思います。

家族・恋愛・結婚

最後の質問は、家族・恋愛・結婚です。とくに女性のオストメイトなので、なかなか聞けないお話もあると思いますので、聞いてみたいと思います。

オストメイトになるのは、家族や恋人との絆が試される試練だと思います。私自身、手術直後は(夫が)自分の身体を受け入れてくれるかわからず、怖かったです。

たまたま病室の談話室で泣いているおばあちゃんがいたので、話しかけたんです。話を聞いてみると、「(旦那が)ストーマが気持ち悪い」ということを切々と語っていました。そのとき、家族の関係がギクシャクすることも起こりえるんだな、と感じたんですよ。

夫が最初に私のストーマを見たのは、パウチ交換を家族に指導するときでした。やはり汚れたパウチやストーマを見られるのは恥ずかしかったんですが、夫は顔をしかめたり気持ち悪がったりしないで、冷静に対応してくれたのはありがたかったです。日常でも、ほんとに夫は全く気にしない様子でして。なので、夫婦生活を営めていると思います。

私はいま、子宮内膜症の治療でホルモン剤を飲んでいるので、生理が止まっているんですね。なので、将来子どもを持つことは難しい状態です。一般の人と違う人生を送ることになったので、自分がどう楽しむか、どうしたら家族との絆を深めていけるのか、パートナーに出会えるかなど考え、自分の魅力を見つけていくのが大事だと思います。

ストーマ装具に関するお話

最後に大きなお話として、装具についてお聞きしたいと思います。オストメイトになると装具を付ける生活になるわけですが、人によって好みや使い方があると思うので、中島さんなりの使い方をお伺いしたいと思います。

私は毎週違う装具を、遊ぶような感覚で付け替えています。装具を化粧品みたいに話せたらと、いつも思っているんです。

当初、WOCナースさんに勧められたものはありますが、装具が上手く使えなかったり、皮膚がピリピリするときがあるので、「これで何をやっても漏れないぞ」という状態にしたかったんです。手芸が好きなので、面板の加工や装飾をなどしてます。

毎週、Twitterで「パウチ交換の儀(PKG)」として、ワンピースやツーピースにしたり、ステッカーを貼ったりしてご紹介しています。

毎週変えるのはすごいですね。

楽しいですよ!面板の貼り付きのよさやサイズ、硬さ、皮膚保護剤など、組み合わせることができるので、女子が化粧品、男性が車の話が好きなのと同じだと思いますよ。興味を持てば持つほど、面白くなってくるんです。みなさん、好きな装具があるので、装具の話で盛り上がるんですよね。

多くの人は、外来の方で勧められて同じ装具を使うことが多いと思います。いろいろな装具が使えるようになると、災害のときそれしかなくても(装具を)使えるようなりますね。

万が一、他の装具がない場面でも、対応できる装具の装着技術を上げておけば、不安が軽くなると思います。そう考えれば、装具を楽しく交換できると思います。

私としては盲点だったのでびっくりしました。

メッセージ

メーカーさんへのメッセージはありますか?

装具を、用が足りるからで終わらせるのではなく、「使うと嬉しい」部分があるといいと思います。Twitterでやり取りをするとき、ステッカーやカバー、デコパウチなどが盛り上がって楽しいですから。

最近の病院のパジャマっておしゃれで肌触りもいいじゃないですか。用事が済めばいいで終わらせるのではなくて、装具の色が赤や緑だったりと、使うと嬉しい方向へモノづくりを進めていただけたら、オストメイト当事者は嬉しいと思います。

オストメイトになって得られたもの

オストメイトになると、いままでの生活と違った日々を過ごすと思います。逆に、オストメイトになって得られたことはありますか?

入院直後、仕事にたくさん穴を空けたことから得られたものは、自分の体調が無理はきかないことを知ったうえで、ペース配分するなどのスケジュール管理能力を得られたと思います。

昔は徹夜すればいいと思っていて、納期がきつければ寝なければいいという考えをしていました。いまは、物理的に不可能になってしまったので、ちゃんと詰め込み過ぎずに納期を守れるようにしています。ここまでしか働けないのを把握できるようになった気がします。

オストメイトは、社会復帰するときに一番大事な能力になるんじゃないかと思いますね。

今後やりたいこと・夢

今後やりたいこと・夢がありましたらお願いします。

みなさんの推し(一番好きな)装具を知りたいです。なので、夢としてはオストメイト当事者のストーマ装具総選挙ができたらと思っているんですよ。もちろん医療器具なので、WOCナースやメーカーさんのアドバイスも大事だと思います。

ただ小さいコミュニティで、「私はこれが好きなんだよね」という話は出てきますので。どれがいちばん人気があるのか、みなさんにアンケートみたいに募って、総選挙のように楽しめるのが夢です!

実現できそうな感じですね!

したい、したいです!

さいごに

いよいよ最後の質問です。オストメイトの仲間へメッセージをいただいて、締めていきたいと思います。

新しいことに、ほんの少しいつもと違うことに、一歩踏み出すことをお勧めしたいと思います。以前のできたことを思い出すと、辛くなることが多いと思うので。ちょっと新しいことに挑戦できたとき、日々が明るくなるんです。

いまはITが発展している時代なのが、大きな側面だと思うんです。インターネットが怖くて前に進めない方もいると思いますが、なんでもいいんです。患者会に行ってみる、オストメイトの友達を見つけるとか、同じ感覚で話せる人がいると、気持ちが軽くなると思うので。常に新しいことに取り組んでいったら、少しずつ辛い気持ちが減っていくんじゃないかと思うんですよね。

私は最近、ジョージアという国のお菓子をインターネットで取り寄せてみました。お茶目心を保っていけたら素敵じゃないかと思います。

※本記事はYouTubeチャンネルの動画を元に、執筆者が加筆・修正・編集を行なっています。
公開インタビュー撮影会は月に1回を予定しております。お話しても良いという方はご連絡いただけると幸いです(自薦・他薦大歓迎です)。
メールアドレス:info@m-akt-jp

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この記事を書いた人

ライター//元広告の営業職/NPOの発足から携わって8年目。みなさまの意見が日々の糧になります。

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